21_21 design sightで展示中の、三宅一生を中心としたREALITY LABを見てきた。
この取り組みが素晴らしかった。
・21_21 dezign sight
・reality lab
三宅一生がreality labの取り組みを始めようと思い立ったきっかけが、 「われわれはどこへ行くのか?」という本だったみたい。
見出し文。”われわれとは何か?文明とは?環境とは?生命とは?宇宙の始まりから人類の運命まで、壮大なスケールの地球学的人間論。”
今回の展示の前半は、この本に関係するもの。
” マーチソン隕石
地球の水の素、 太陽系最古の物質と同じ種類の、炭素質コンドライトと分類される隕石で、有機物や水や水が大量に含まれている。このような物質が地球に降ってきて、蒸発し、大気や海や生命のもとになったと考えられる。1969年オーストラリアに落下し、その直後に回収され分析された。”
すごいパースペクティブ。
火星から飛んできた隕石に地球が大衝撃を受けて、そのとき微生物がうごめいた様子が記録されてる岩石 とかが、展示されてた。
時間軸がとほうもない・・・!
最近やっと200年くらい前までの時間軸が持ててきたかなあとぼんやりと思ってたけど、一気に放り投げられた。
後半は、ISSEI MIYAKEのreality labの展示。
この本にインスピレーションを受けた彼が、6人の若い仲間たちと始めた活動。
ポリエステルから再生可能な繊維を開発し、織り方に工夫を重ねて重ねて肌心地を研究し、
染織に工夫を凝らし、そして折り紙のように服をつくる。
再生可能繊維は松山で、織りは私の地元福井で、染色を石川でと各地のものづくりの力を総動員した。
折り紙のような形成には、最先端の立体造形・数学のシュミレーション技術が使われていた。
展示の途中にはドキュメンタリーも上映されていて、
日本の地方のものづくり、職人との協働と葛藤が描かれていた。
地元福井は繊維の町で、女も機織りに出て一人前の風土があった。
だからいまでも共働き率No1だったりする。
小さい頃は、おばあちゃんの機織りこうばによく遊びに行っていた。
機織り機はものすごい音で稼働する。だからおばあちゃんたちはすごく耳が悪くなった。
むき出しの機械で、ともすれば指を切ってしまう可能性もある。
ドキュメンタリーを見ながら、あの大きな音と、目の前で細かい目が織り上げられていく布地がうかんだ。
魔法みたいに細かい目地が重なって、おばあちゃんが少し機械を操作すると
目地が一気に形を変える。一ヵ所でも重なりが違うと、機械を全部止めて手で直す。
とんでもない仕事だなあ!って思ったのを覚えている。
こんな形で地元のものづくりに出会えたことが、なんだかとっても嬉しかった。
4年前くらい、トップランナーか何かで川崎和男さんの回を見た感覚に似てる。
こういうことがしたい、こんな風にかかわりたい。
研究に研究を重ねた生地の開発、折り紙をモチーフに立体化させたデザイン。
台のうえに平たく折りたたまれた服は、持ち上げると様々な服や小物へ変身し、
そして忠実に折を再現してまた平たくなる。
なんども形を確かめて服を触った。ほんとに美しかった。
帰りしな、彼にインスピレーションを与えた本の内容が気になって
購入して読んでみた。
ここ一年、世の中の現象を捉えるために、歴史とか哲学、社会科学的な考え方を読んでた。
けどこの本が、地球をシステムとして捉える科学的な視点を届けてくれた。複雑な数式が解けたような感覚。
この本を読んだあとだからこそ、三宅一生が何をしようとしていたか、もっと近くで分かった。
それでね、ひとつとっても腑に落ちてしまったことがあったんだ。
嬉しくって電車のなかでにやにやしてたと思う。
よるべのひとつになりますように。