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EUのアグリツーリズモ・テリトリーシステムのパイオニア①

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現在、イタリアにて、アグリツーリズモ・ローカルデザイン研修に参加しています。
毎日ロマーニャ地方の素晴らしい事業に出会い、学びを重ねているのですが、まずは彼を紹介せねばなりません。

私が宿泊しているのは、ヨーロッパでアグリツーリズモの概念を作ったパイオニア、ファッジョーリ農場。EUのモデルとされ、1985年に制定された法案の起草者でもあるヨーロッパでも有名な農場です。
現在では世界各国に講演に赴くオーナー・ファウスト氏。イタリア起点で世界に広がったアグリツーリズモは、彼らが作っていったといっても過言ではありません。

この農場は、ブーツの形をしたイタリアのふくらはぎ上部辺りに位置するエミリアロマーニャ州の、フォルリ=チェゼーナ県フォルリンポポリ(音が可愛い..笑)というコムーネの郊外にあります。
エミリアロマーニャ州は、肥沃な平野が広がる農産業地域としても有名で、パルマハムやパルメザンチーズ、バルサミコ酢など多くの世界的ブランドを作り出す地域です。工業、漁業も盛んで、一般的に「裕福な地域」というイメージがもたれています。
ちなみに私が暮らすフェラーラも、エミリアロマーニャ州に位置しています。

ファッジョーリ農場のオーナー、ファウスト氏は、このロマーニャ地方の大きめの街ラヴェンナの郊外で生まれ、10歳まで自然豊かな場所で育ちました。


ボギエラのスローフード理念

ニンニク

世界遺産に指定されているイタリア・ポー川流域に、ボギエラという小さな街があります。
ここはニンニクを始めとする農業で有名な場所。
貴重な建築が点在する世界遺産地域のなかで作物が作られながら、
農風景や文化が守られています。

見てください、この素敵なニンニク!笑
このボギエラのコムーネ(自治体)と、ここを拠点とする農作物の会社にインタビューに行ってきました。

なんだか、まさにイタリアのスローフードの理念を体現しているような場所。
かつて貧しかった土地で、農家と地元の農業会社が力を合わせて
質のいい作物を作り続け、貴重な建築を買い取って工場として
リノベーションすることで、景観を守ってきました。
その後、コムーネに所属する熱い男・ダンテさんが、
作物の価値をあげるべく認証制度登録に取り組み(価格も倍増)、
いまは作物の背景にあるストーリーを共有しようと、QRコードを使った情報コミュニケーションに取り組んでいます。
食はまさに文化と強く結びついていて、地元のお祭りでは、ニンニクを女性の髪飾りにするそう。

この土地を愛する人たちが、ゆっくりと、着実に農風景を守りながら
美味しいものを作り続けている。
そしてその背景を共有することで、食文化・土地ごとファンになる人を増やしていく。
まさにイタリアのスローフード理念を体現している地域、とても勉強になります。

きっと日本にも、お互い勉強しあえる地域がありそうだなあ。
何よりも、ここの作物が美味しい!ニンニクが“美しい”と思ったのは初めて。笑


美味しい食生活

パン

イタリアは食の美味しさで有名ですが、食べものへの関心も本当に強い。
男の子も料理ができて当たり前な国です。

私は3〜5人で暮らしていますが(イタリアの若者は、ほぼ漏れなくシェアハウス)、
朝起きたら突然キッチンに大きなパン生地が寝かされていたり、
夕ご飯にオーブンで丸焼きしたチキンが出てきたり、
デザートにタルトが焼かれたり。
我が家ではたいてい男の子の仕業なことが多いです。
私も負けじと日本の家庭料理で応戦して、日本の家庭文化を紹介しています。

テーブルを囲んで、親しい友人や家族と
たくさん時間を共にすること。
家族の絆を大切にすること。
一緒に暮らしていると、彼らがずーっと大事にしてきたこの文化をひしひしと感じます。
その真ん中に“食”を通した時間がある気がします。

というわけで写真は、朝7時に突然キッチンに現れたパン生地。
2日分の美味しいごはんになりました。


固有の文化を持つイタリアの街:食べもの編 Ⅰ

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いかにもイタリアっぽいおじちゃんが持っているこのパン、
“コッピア フェラレーゼ”という名前の、私が住む街フェラーラtypicalのパンです。
カニみたいなパン。

レストラン/トラットリアで席につくと、まずパンとオリーブオイルが出てくるのですが
(これがまた美味しい!)、そんなときはこのカニパンの胴体が半分に割られて出てきます。

ところで、イタリアの街は、ほんとに驚くほど各街に特徴があります。
歴史も文化も街並みも、そしてイタリアといえば忘れてならない料理も。

フェラーラから電車で30分ほどいくとボローニャの街に着くのですが、
なんとボローニャではこのパンは食べられない。(売っていない)
他にも、カペラッチというパスタが名物なのですが、これもボローニャでは食べられない。
もちろん、ボローニャ名物もフェラーラでは滅多に食べられない。

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(カペラッチ:帽子型のパスタにパンプキンが入っていて、お肉とポモドーロで作られたソースで絡められている。美味しい。)

30分というと新宿から東京駅くらい、高田馬場から所沢くらい?
その距離で、土地の料理が全く変わるから驚きです。

その名物は、もちろん土地のもので作られていて、誰もがその料理に誇りを持っている。
自分たちの土地で作られた作物を購入して食生活を営むことを、
イタリアでは“キロメートル・ゼロ”と言います。日本でいう地産地消の概念に近い。

“イタリアは街ごとに特徴が強くて、街に対する愛着もとても強い”。
この理由のヒントを掴むことも、私のテーマの一つです。

さて、このパンやさんで写真を撮らせてもらってごはんを食べていたところ、
おじちゃんがウィンクをしながらドルチェをプレゼントしてくれました。
イタリアでは、エレベータで乗り合わせたり電車で相席になったり、
むしろ買い物にいくだけでも何か面白いことが起こる確率が高いので、
毎日外を出歩くのも楽しいです。

少しずつ少しずつ春めいてきて(といっても気温はマイナスですが)、
なんだかワクワクしているこの頃です。


タイムバンキングを500m地域で

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週末参加した、ボローニャの参加型地域デザイン グループのその後。
2日間の住民とのワークショップの結果、2つのプロジェクトが決まりました。

•“Banca del tempo locale e semplificata” (タイムバンキング)
•“riciclare donando” (リサイクルエクスチェンジ)

このグループ、ちょっとユニークで、一つのストリートを中心に活動しているのです。
ヨーロッパの全ての道に名前があることは有名だけど、その道の1つ、
500メートル程のストリート沿いに住むネイバーフッドを中心に
活動している団体です。
(同じく南米も道に名前がついている。アメリカもそのはず。他のエリアはどうだろうー。
日本の住所の付け方は、都市計画界でもよくネタとして紹介されます)。

このエリアに住んでいる若者が、住民を巻き込んで活動開始して早5年。
さすが場数を踏んでいる住民達、数時間でここまで能動的に物事が決まるとは。

このプロジェクトの一つ、「タイムバンキング」のコンセプトを知らなくて、調べてみた。
ら、ちょっと面白かったので紹介します。
起こりは1980年代のアメリカ。端的にいうと、時間を交換してコミュニティを育むもの。
ヨーロッパでも各地に広がっており、日本でも幾つか事例があるようです。(詳説は文末)

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何がナイスだと思ったか。
物物交換のシステムは、地域活性でよく聞く手段。だけどここを“タイム”とするのが、
改めて今の時代に添うスタイルなんじゃないかと思った。

イタリアに暮らして感銘を受けたのが、各街に横たわる、この繋がりの深いコミュニティ感。
街と人、人と人の繋がりが圧倒的に強い。(都会と地方の差こそあれ、平均的にもやはり強い)
この強い要因の一つが、“時間を共有する”感覚/優先順位の高さだと思う。
親しい人たちとホームパーティーで食事をゆっくりとって、
行きつけのカフェに通い続け、近所の人たちと頻繁に挨拶を交わして、
一つの街の空間(広場)を共有して、共に時間をすごす。(※広場 だいじ。大テーマです。)
今の社会は、時間と場所を超えて、個人で効率的に動けるように創られてきているけれど、
じつは無駄ととらえられていた“時間の共有”、“共に過ごす感覚”が
ここまで人を街に/住民同士に近づけているんじゃないかなあと、
イタリアの街の蓄積された結果を見て思っていたのです。
そしていま日本でも、改めてこの“時間の共有”に注意が向き始めていることを感じる。

それが小さな500メートルほどのエリアで集中的に実施される。
この“時間”を前提にした取り組みは、物物交換とは
ちょっと違う結果になってくるんじゃないかなと。

欲張って言うなら、タイムバンクのような取り組みだけじゃなく、
物理的・社会的なデザインで、時間の共有をさりげなく仕掛けていけたらいいなと
妄想を始めました。

そんなわけでまず、ボローニャで始まる取り組みに注目して行きたいと思います。

 

–*タイムバンキングについて

タイムバンキングは1980年代にアメリカで始まった取り組みで、ヨーロッパでも数々事例がある。
イギリスの地域の事例だと、こんなかんじ。
 ・地域にタイムセンターという場所を設けて、ホームベースとする
 (コミュニティの人がオープンに立ち寄れる)
 ・タイムブローカーと呼ばれる人がマネージメントする(名前がかっこいい!笑)
   └登録者の特技・今後やりたいことなどなどを把握する
 ・住民の希望に添って時間を交換する。管理の仕方は数パターン(後述) 
 ・1時間活動すると、1クレジット発行される
 ・参加者全員の合計タイムクレジットが一定に達したらみんなでイベントを開催するなど、
    タイムクレジットの使用を共有化する仕掛けも工夫しているそう。

この取り組みは、2008年英国都市再生協会(BURA) コミュニティ再生大賞を受賞するなど内外の評価も高いとか。日本でも、主に高齢者介護のボランティアとして使われてきた方法(時間預託、という言葉が使われていたそう)

ちなみにこの取り組み、地域経営コンサルタントの原啓介さんが、
福岡県八女市上陽町で社会実験をする前の考察と、実施後のレポートがウェブ上で発見できる。
これはありがたい〜〜
イギリスやアメリカの事例も見れます。

・社会実験前:
http://foopdedoo.net/hara-ksk/2010/09/post-255.html
・社会実験後:
http://www.mlit.go.jp/common/000140757.pdf


野菜のかしこい買い方

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ちょっと訳あって、スーパーの量り売りの機械を調べています。
イタリアのスーパーはほぼ全てに野菜の量り売りシステムが導入されています。
おそらくヨーロッパ全土?今年住んだ南米各国にも。

このシステム、ご存知な方も多いと思うけども、
野菜の種類ごとに値段(○€/kg)が定められていて、必要な数だけ
量りに置いてボタンを押します。(トマト一つとっても、種類ごとに値段が違う)
出てきたバーコードを野菜(を入れた袋)に貼って、レジに持っていくもの。
パック詰めにしないから不揃いの野菜でも大丈夫。
みんな自分にあわせた大きさの野菜・果物を買っていきます。
とても性善説で作られたシステム。

必要量にあわせて買えるから日本の一人暮らし形態にはぴったり!
(イタリアで一人暮らしは珍しい。学生はほぼ漏れなくシェアハウス。)

日本にも導入されたらいいのにと何度も思います。なぜ導入されないのだろう…
積み上げてきたシステムを崩すのも大変だろうけど….

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イタリアに来てから、野菜・果物の美味しさと安さに驚喜して過ごしていたので、
日本の高額な野菜生活を乗り越えていけるか心配…!
農家さんと直送契約して暮らしていけたらと、いまから検討中です。
既にトライされているかた、ぜひ教えてください。

※ちなみにコチラの「タダヤサイドットコム」、
不揃いで出荷できなかった野菜を格安or無料で販売しているサービスとのこと!
要チェックです。
http://www.tadayasai.com/


カフェは地域コミュニティの中心地

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南米&モロッコからイタリアに戻って1週間。イタリアでカフェに行くと、すごくほっとする。
イタリアの街全体に広がる、“街がひとつの家族”感覚は、
街のあちこちで起きるコミュニケーションから生まれていると思う。
そのなかでも、“カフェ”が すごく重要な役割を担っている。

イタリアのカフェは、日本の“カフェ”とは大違い。
・基本立ち飲み。一杯飲んでお喋りしてサッと出ていく。
・至るところにある。どれくらいかというと、日本の自販機の間隔と同じくらい。(イメージ)
・“カフェ”を頼んで出てくるのはエスプレッソ。クイッと飲むもの。
・朝早くから夜まで営業
・初対面でも連れ立っていく社交の場でもある。連れタバコの感覚に似ている(吸わないけど)
 –日本のカフェは、親しい友人と深く話すために行く場所、という
 イメージが強い気がするから、全く違う。イタリアに来て、知り合ったばかりの
友人達に、「カフェ行く?」て言われたときは、
「なんで?どういうこと??」とびっくりした(懐かしい….)

Exif_JPEG_PICTURE(これはカプチーノ。)

イタリア人は、そんなカフェに一日何度も行く。
例えば、出勤前にさっとエスプレッソを一杯+甘いコルネット(クロワッサン)、
授業や仕事の合間の少し長い休み時間に連れ立って一杯、
ランチのあとにもう一杯…
これだけ頻繁に行く場所だから、誰もが“お気に入りのカフェ”を持っている。
カフェのオーナー達もそろって快活、お喋り上手。

家の近くや職場の近くのお気に入りのカフェに行くと、多くの人たちが顔見知り。
美味しいエスプレッソが飲めること、コルネットが美味しいことはとても重要。
そしてカフェのオーナーや、常連のご近所さんたちとのお喋りも大事な要素。
調子はどうだい、元気かい?これからどこ行くんだい?ていう、何気ない会話が繰り広げられる。

毎日の何気ない会話だけど、積み上げるとものすごい数の毎日を一緒に過ごしている。
その中心にあるカフェは、地域に根ざした強力なコミュニティのハブになっている。
おじいちゃんもおばあちゃんも、子どもから大人まで
ほんとうに沢山の世代が混じり合う場所。

きっと体験してもらうとわかるはず。とても豊かな時間が流れているのです。

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こういう場所、日本でいうと何に当たるんだろう。
毎日のように近所で多世代が自然に交流する場所、、、

こんな場所が1つの地域からでもつくれたら、生活の彩りがぐっと変わってくる気がするのです。

facebookページ;世界中の地域を旅して学ぶ留学記 -Sustainable City Design

 


in Napoli

I finally I understood. The world is not so difference. The distance between Asia and Europe was a little disappeared.

ナポリは、イタリア人が「カオティックだけど本当に美しい」って表現する街。
カオスさと美しさは、一体どうやって同居するんだろうってずっと思っていた。

そして訪れて、驚いた。
彼らの言う「カオス」さは、まさに東南アジアの街。
むっとする湿度の高い街のなかで、道に屋台がならび、
高密な街のあちこちで、道端におしゃべりをしながら人が溜まる。
この気候や密度から来る人の振る舞いが、大好きな東南アジアの街を彷彿とさせる。
そっか、彼らが言っていたカオスは、アジアに通じていたんだ。

そして”美しさ”は、自然が成す地形に由来する。
すぐそばにヴェスヴィオ火山がそびえ、その火山から作られた激しい地形。
青が美しい海を背景に、魔女の宅急便でキキが空から眺めたような街の景色。
そして一気に盛り上がる丘、雄大なヴェスヴィオ火山。

ナポリに訪れたなら、どこかパノラマが見れる場所にぜひ。
これはcastel dell’Ovo からの眺め。


パッセジャータという文化


イタリアには”パッセジャータ”という かなり面白い文化があります。
街のある”決まった通り”を、街じゅうのひとが決まった時間に
ゆっくり行き来して散歩するんです。行き来、するんです。繰り返し歩く。

そのときはシャワーを浴びてお洒落な服に着替えて、
お気に入りの香水をつけて出かけます。
時間帯はだいたい夕食前か、夕食後から真夜中。週末に週中しがち。

そして数時間歩いているあいだに、近所じゅうの知り合いにあって、
出会っては喋り、喋っては歩く。
この文化、少し前はどこにでもあったらしいのだけど、
特に小さな街に強く残っていることが多い。

そしてとうとう今日、南イタリアの街でホンモノのパッセジャータに出会った!
これ、0時前後の写真。
街中の大人から子供までがある決まった通りを行ったり来たりして、
道の端っこでくるっと振り向いて戻ります。
この街では、土曜の夜はパッセジャータのために、
ある通りがコムーネにより通行禁止になるらしい。公的に守られている文化。笑

日中ずっと外に出て喋っているリタイヤしたおじさまたちといい、
コミュニケーションの取り方が深いところから全くちがう。
ほんとに面白い。

彼らが一生のうちに喋っている時間を足し上げると、日本人はその
20分の1もコミュニケーションを取っていないんじゃないかと思う。
善し悪しじゃないとおもうけど、
ほんとうに、文化、習慣、プライオリティがほんとうにちがう。