週末参加した、ボローニャの参加型地域デザイン グループのその後。
2日間の住民とのワークショップの結果、2つのプロジェクトが決まりました。
•“Banca del tempo locale e semplificata” (タイムバンキング)
•“riciclare donando” (リサイクルエクスチェンジ)
このグループ、ちょっとユニークで、一つのストリートを中心に活動しているのです。
ヨーロッパの全ての道に名前があることは有名だけど、その道の1つ、
500メートル程のストリート沿いに住むネイバーフッドを中心に
活動している団体です。
(同じく南米も道に名前がついている。アメリカもそのはず。他のエリアはどうだろうー。
日本の住所の付け方は、都市計画界でもよくネタとして紹介されます)。
このエリアに住んでいる若者が、住民を巻き込んで活動開始して早5年。
さすが場数を踏んでいる住民達、数時間でここまで能動的に物事が決まるとは。
このプロジェクトの一つ、「タイムバンキング」のコンセプトを知らなくて、調べてみた。
ら、ちょっと面白かったので紹介します。
起こりは1980年代のアメリカ。端的にいうと、時間を交換してコミュニティを育むもの。
ヨーロッパでも各地に広がっており、日本でも幾つか事例があるようです。(詳説は文末)
何がナイスだと思ったか。
物物交換のシステムは、地域活性でよく聞く手段。だけどここを“タイム”とするのが、
改めて今の時代に添うスタイルなんじゃないかと思った。
イタリアに暮らして感銘を受けたのが、各街に横たわる、この繋がりの深いコミュニティ感。
街と人、人と人の繋がりが圧倒的に強い。(都会と地方の差こそあれ、平均的にもやはり強い)
この強い要因の一つが、“時間を共有する”感覚/優先順位の高さだと思う。
親しい人たちとホームパーティーで食事をゆっくりとって、
行きつけのカフェに通い続け、近所の人たちと頻繁に挨拶を交わして、
一つの街の空間(広場)を共有して、共に時間をすごす。(※広場 だいじ。大テーマです。)
今の社会は、時間と場所を超えて、個人で効率的に動けるように創られてきているけれど、
じつは無駄ととらえられていた“時間の共有”、“共に過ごす感覚”が
ここまで人を街に/住民同士に近づけているんじゃないかなあと、
イタリアの街の蓄積された結果を見て思っていたのです。
そしていま日本でも、改めてこの“時間の共有”に注意が向き始めていることを感じる。
それが小さな500メートルほどのエリアで集中的に実施される。
この“時間”を前提にした取り組みは、物物交換とは
ちょっと違う結果になってくるんじゃないかなと。
欲張って言うなら、タイムバンクのような取り組みだけじゃなく、
物理的・社会的なデザインで、時間の共有をさりげなく仕掛けていけたらいいなと
妄想を始めました。
そんなわけでまず、ボローニャで始まる取り組みに注目して行きたいと思います。
–*タイムバンキングについて
タイムバンキングは1980年代にアメリカで始まった取り組みで、ヨーロッパでも数々事例がある。
イギリスの地域の事例だと、こんなかんじ。
・地域にタイムセンターという場所を設けて、ホームベースとする
(コミュニティの人がオープンに立ち寄れる)
・タイムブローカーと呼ばれる人がマネージメントする(名前がかっこいい!笑)
└登録者の特技・今後やりたいことなどなどを把握する
・住民の希望に添って時間を交換する。管理の仕方は数パターン(後述)
・1時間活動すると、1クレジット発行される
・参加者全員の合計タイムクレジットが一定に達したらみんなでイベントを開催するなど、
タイムクレジットの使用を共有化する仕掛けも工夫しているそう。
この取り組みは、2008年英国都市再生協会(BURA) コミュニティ再生大賞を受賞するなど内外の評価も高いとか。日本でも、主に高齢者介護のボランティアとして使われてきた方法(時間預託、という言葉が使われていたそう)
ちなみにこの取り組み、地域経営コンサルタントの原啓介さんが、
福岡県八女市上陽町で社会実験をする前の考察と、実施後のレポートがウェブ上で発見できる。
これはありがたい〜〜
イギリスやアメリカの事例も見れます。
・社会実験前:
http://foopdedoo.net/hara-ksk/2010/09/post-255.html
・社会実験後:
http://www.mlit.go.jp/common/000140757.pdf