デンマークに到着したばかりだけどベルリンの話を。
先日、映画「ベルリンフィルと子供たち」を観ました。それは私のなかで大騒ぎになった出来事でした。ここに描かれているのは、世界に名だたる管弦楽団ベルリンフィルハーモニーと、あらゆる階層の子供たちのダンスパフォーマンスによって創り上げられた舞台のドキュメンタリー。名指揮者ラトルが始めたEducation Programの映画です。
印象的だったひとつは、番組後半まで続く、階層別の子供たちの、
明らかに異なる精神性だけでなく身体性のアンバランスさ。
同じ歳で、ここまで人は違うのか、不安を抱えるのかと。
そして鳥肌がたってしまった、圧倒的なステージ体験と、彼らの見違えるような変化。
子供たちに全力でぶつかる振り付け師など大人たちの歴史と想いが、自分たちの今も省みさせます。
これを、ベルリンフィルは、都市の楽団のEducation Programとして取り組んでいます。
音楽家の本分として、とにかく音楽技術の向上に集中しているような先入観があったけれど、音楽家たるものその力を社会に還元すべきだと始まったプログラムだとのこと。ベルリンフィルの熱烈なファンである友人は、おそらくこのプログラムを経て一時期ベルリンフィルの音楽は乱れたけれども、あるとき一気に厚みが増したのだといいます。
都市の財産である管弦楽団のありかた、その土地にいる子供たちや社会へのインパクト、そしてそれを繋げる音楽と身体パフォーマンスの圧倒的な可能性。この絶妙な循環、こういうことをつくっていきたい。
体の奥底がうずくような映画です。ぜひ見てください。
来週からベルリンに行きます。もしどなたかお知り合いがいたら教えていただけると嬉しいです。